写真は、横濱茶館所蔵の大象棋(大将棋盤と大将棋駒)です。
実際に対局できます。対局相手がいない方は、古将棋定例対局会まで
なお、ルールは、中将棋に準じるものとします。
各5段目までが自陣敵陣です。
上面写真 | 全体写真 | 側面写真 | ||
先手側が表面。後手側に裏面。裏:赤文字 | 大将棋盤:脚付一尺八寸x二尺x二寸盤。側面蒔絵梅 |
駒拡大(セピア調にしました) | 駒と駒箱桐 | |
駒:各65枚計130枚。 中将棋駒(スタンプ駒)と将棋駒(スタンプ駒)の1セットづつと、足りない分は、「銀将」のみ注文して表側を削り、漆書きしました。 |
桐箱は、130枚駒が入るもの。 写真(どうも駒の木地の色が再現できない。)では白く見えますが、もう少し茶色です。 |
大象棋は、他の古典将棋とは異なり、その歴史は最古(小象遊除く)で、大きく3種(時代により変貌した、別なものとして捉えた方がよい)の大将棋、複数の駒の動き・成りに関しての解釈があります。
なお、平安時代にあった象戯とは、[平安]象戯(現在の将棋の原型であるが異なる)
と[平安]大象戯(現在の大将棋及び江戸時代の大象棋とは異なる。古典象棋(大型象棋)の原型である。)の2種類で、それが2系列進化していったと思われます。
[平安]大象棋系列は、中将棋・(後の)大将棋・天竺将棋・大大将棋・摩訶大々将棋・泰将棋・大局将棋を生みだして行き、「将棋」系列のとに思想の違いがあります。その相違点は、a.駒は取り捨て(殺す、将棋は捕らえて味方とする)
b. 王子の概念がある c.指し手の意志決定が駒に触れる迄(触れた(命令言まで)後のプロセスはあくまで伝達行動意味で命令の撤回修正は一切ありえない、将棋は、指し終わる迄で伝達が伝わる迄は変更命令可能とみる)
d.死に駒がある(役目が終われば死。将棋は不可で最後まで任務を全う) e.裸王にした側が勝ち、などです。大大将棋からは、更に
f.成りの違い(位の上がるには、(敵陣進入ではなく)敵を殺した事の報償となった)があります。中国思想と日本思想をみる様ともとれますが、大象棋系列が公家社会を中心に変化・伝承されてきたものと見た時、
当時は、無限の時間があったと同時にしきたりには厳格、天皇の言は(誤りとい意味は存在しない)絶対との考え、短命な当時長期間の戦いは天皇の代が変わる、天皇を守る為(例え相打ちであっても)家臣は守っていき最後迄闘った場合は一人死す、に結びつけた方が物語ではある。
1.今回採用したもの
(1)各駒の成りは、象棋六種之図式と思われるものの説明を採用しました(世界の将棋増補版)。
(2)「猫刃(みょうじん)」ですが、これは先人を重んじ「猫叉(ねこまた)」の説を今回採用しました。
(3)「悪狼(あくろう)」ですが、動き方は、2種説がありますが、時代が新しいものの動き(後方にも行ける)が望ましいと思います。
2.三種の大将棋の違い
(1)二中歴版大象棋
マス目が13x13間。駒数34枚づづ計64枚。成りは、敵陣(三段目)に入れば(王を除き)全て「金」とする説と
「銀猛虎銅鉄桂香歩注人」が「金」とする説(飛龍奔車横行は成れない)がある。
(仮に成れないとした駒が成り可としても成りは選ばないとは思うので実体上は同じなのだが)。
(2)象戯圖版大象戯
マス目が15x15間。駒数65枚づづ計130枚。成りは、麒麟は獅子、鳳凰は奔王、酔象は(大)子。
他は、全て不成分とする説と大将棋のみある駒(獅子・奔王・王除く)のみ不成分とする説がある。
二中歴版大象棋の進化版。
(3)象棋六種之図式版大象棋
マス目が15x15間。駒数65枚づづ計130枚。中将棋の成りに同じ。なお、大将棋のみある駒は「金」。
他の大型象棋を生み出した後、整合性とルールを確定した最終版。
(4)その他情報
同じ15x15間を使用する、小大象棋、中大象棋、大大象棋というものがあるとの文献もある(詳細不明)。
3.図書
3.1 歴史図書
大将棋に関しては、次の書物で紹介されていた事が各所で示唆されています(歴史順)。その他、複数の古文書で紹介をされています。
(1)二中歴
(2)象戯圖
(3)諸象戯圖式
(4)象棋六種之図式
3.2 現在
現在(2004年)購入できる書籍で大将棋に関して説明があるもの:
(1)動かし方含め、詳細があるもの
a.世界の将棋 改訂版:梅林勲、岡野伸 共著:将棋天国社
b. 将棋T:増川宏一:法政大学出版
(2)大将棋の紹介があるもの
c. はじめての中将棋:水伸涼:中将棋倶楽部
d. 将棋ガイドブック:日本将棋連盟開発課 編者:日本将棋連盟
e. 日本将棋集成:窪寺紘一:新人物往来社
f. 持駒使用の謎:木村義徳:日本将棋連盟
a. は、象棋六種之図式を1次資料とした動きになっていると思われる。
b. は、3種記載がある。
c. は、紹介及び学説の紹介。
d. は、展示品の大将棋の写真がある。象戯圖式を1次資料としたものとなっていると思われる。
e. は、将棋の歴史と資料辞典の位置づけ、とある
f. は、将棋の起源とその発展過程を論じたもの