写真は、横濱茶館所蔵の禽象棋(禽将棋盤と禽将棋駒)です。
実際に対局できます。対局相手がいない方は、古将棋定例対局会まで
上面写真 | 全体写真 | 側面写真 | ||
禽将棋盤:脚付三尺六分盤 |
駒拡大 | 禽将棋盤、駒と駒箱桐 | |
駒:各16枚計32枚。 手作り(木目用紙に文字印刷、円形切抜き、紙用瞬間接着剤使用し、研磨駒に張り。駒は3サイズ[将棋の王、飛、金の各サイズ] |
桐箱は、将棋箱代用。盤は、将棋盤(厚さ3寸6分)を天を[7 x 7 ]に引き直し。その為、コマ枠サイズは1周り大きい |
将棋(小象棋)系列の象棋。将棋九世名人大橋宗英(1758-1809)の考案といわれる。全ての駒(成り駒含む)に鳥の名前がついている。
天保4年(1833年)刊の「象戯圖解」に遊技式が記載されている。
1.ルール
1.1 盤
7×七マスの合計49のマス目を使用する。星は、4カ所。位置は、対照に3線目交点にある。
1.2 駒
一組の駒は、六種32枚で構成されている、種類と数は次の通り。
(詳細は、「1.4 駒の名称と動き」に記載する。)
鵬(おおとり) 2枚 鶴(つる) 4枚 雉(きじ) 4枚 鶉(うずら) 4枚 鷹(たか) 2枚 成り駒 G(くまたか) 燕(つばめ) 8枚 成り駒 鴈(かり)
1.3 基本ルール
分かり易いように重複して記載する部分があるが、基本的に現代将棋ルールに同じ。
(1)取り駒の使用
(大象棋系列の古典象棋と異なり、)本将棋と同じ、取った駒は自軍の駒として使用できる。
(2)盤上の自陣と相手陣
自分の側から見て手前二段の空間を自陣といい、向こうの二段を相手陣という。
(3)持駒の使用
盤上のどこにでも打つ事ができる。但し、「燕」は、向こう一段目に打つ事はできない(死に駒の打ち駒禁止)。
(4)成り
相手陣に駒が移動する。打ち駒が相手陣から移動する場合に成る。
駒が成れる時不成りは禁じ手。成れる時は必ず成らなければならない。
(5)三燕の禁じ手
同じ(縦の)筋に「燕」は二枚までしかおけない。三燕は禁じ手である。燕の成り駒は数に入れない。
(6)打ち燕詰めの禁じ手
将棋の打ち歩詰めの禁じ手と同じ。なお、将棋の「突き歩詰め」同様「突き燕詰め」はよい。
(7)千日手
千日手は、同一局面が「3度」現れる迄に同一局面を最初に出現させた側が手を替える。
替えないのは禁じ手。但し、鵬手(つまり将棋の王手)の場合は、鵬手側が手を替える。
(8)入鵬
双方が入鵬(つまり将棋の入玉)しても無関係。将棋の様に持ち将棋判定はしない。
1.4 駒の名称と動き
表記:
●は、駒の指せる(相手の駒を取れる)位置を表す。
\―|/は、それぞれその先へ進めるだけ進む事を表す
○は、自軍駒或いは相手軍駒で、○は飛び越せる事を表す
鵬(おおとり)
この駒が取られたら(実戦ではその直前に詰まされた時点で終局する)負け。
駒の位置する周囲一マスに動ける。
● ● ● ● 鵬 ● ● ● ●
鶴(つる)
前後と斜めに一マスに動ける。
● ● ● 鵬 ● ● ●
雉(きじ)
前に一マス離れた位置或いは斜め後ろに一マス動ける。
また、利きは飛び越える形でも動かせる。
● ○ 雉 ● ●
鶉(うずら)
左に配置された鶉を「左鶉」、右に配置された鶉を「右鶉」という。動き方が対照になる。
前方だけならどこまででも進める。後方は左鶉は右、右鶉は左側には名前後ろ何マスでも進め、
逆の方は一マスのみ進める。
| 鶉 ● \
| 鶉 / ● 左鶉 右鶉
鷹(たか)
後ろを除いて、駒の位置する周囲一マスに動ける。
成ると「G」。
● ● ● ● 鷹 ● ● ●
燕(つばめ)
前に一マス進める。
成ると「鴈」。
● 燕 _ _
成り駒
G(くまたか)
斜め前と後ろには何マスでも進めるが飛び越しては進めない。
斜め後ろには一マス或いは二マス進める事ができる(飛び越しはできない)。
その他の方向には、一マス進める。、
\ / \ ● / ● 鷹 ● ● | ● ● | ●
鴈(かり)
一マス空けて3カ所に進める。周囲に駒があっても飛び越して進める。
● ● ○ ○ ○ ○ 鴈 ○ ○ ○ ○ ●
1.6 初期配置
1.7 駒落ち
棋力に差がある相手の場合、次の駒落ち手合いにて行う。
一段差 前先々
二段差 定先
三段差 先番・鶉落ちを交える
四段差 定鶉落ち
五段差 鶉落ち・鷹落ちを交える
六段差 定鷹落ち
七段差 鷹落ち・鷹鶉落ちを交える
八段差 定鷹鶉落ち
2.図書
2.1 参考文献
(1) 世界の将棋 改訂版:梅林勲、岡野伸 共著:将棋天国社
(2) 将棋T:増川宏一:法政大学出版
(3) 将棋ガイドブック:日本将棋連盟開発課 編者:日本将棋連盟
2.2 一次資料(古文書)
(1) 禽象戯圖解:豊田四郎兵衛(大橋宗英門下人)著
( 2004.7/4 文責:乾信治
2005.6/19 訂正 )